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読書教育の教科書

一生モノの「読書の体力」をつくるスタミナ期の歩み方

2026.10.30

一生モノの「読書の体力」をつくるスタミナ期の歩み方

絵本から読書を始めたお子さんが、自分から好きな本を読めるようになった。そんなお子さんの成長を目の当たりにすると、「そろそろ長編の物語も読んでくれるのかな」と、頼もしい未来の姿を思い描いてしまいますよね。

だからこそ、「ブリッジ期」を越えたあたりで読む本のレベルがなかなか上がらないと、つい焦りを感じてしまうこともあるかもしれません。

ですが、そこで急いでしまう必要はないんです。お子さんは「スタミナ期」に入り、じっくりと読書を重ねることで、長編にも挑戦できるための読書の体力を育て始めているんです。

お子さんがこの先も楽しく読書を続けるための土台をつくる、この「スタミナ期」。それでは実際に、どのような本に出会い、どのような読書との向き合い方を身につけていくのか、詳しく解説していきます。

▽「読書家ロードマップ」とは何か知りたい方はこちら

お子さんのスタミナを鍛えるのはこんな本

スタミナ期に入るお子さんは、自分の好きな本だったら挿絵が少なくても楽しめるようになっていて、平均2万字程度の本を読み通す力を持っています。ですが、そのような本のほとんどは1日で読み切ることができ、長編を楽しむための読書の体力を鍛えるためにはまだ少し負荷が足りないんです。

そんなお子さんの読書の体力をもう一段階強化していくのが「スタミナ期」。そのために、少し難易度が高く、ジャンルもさまざまな本に挑戦していきます。

『マジック・ツリーハウス 第1巻 恐竜の谷の大冒険』メアリー・ポープ・オズボーン 著、食野雅子 訳(KADOKAWA);『それいけズッコケ三人組』那須正幹 作、前川かずお 絵(ポプラ社)

こういった読み応えのある本を一つ一つ読めるようになっていくことで、お子さんは長い本を読むための、新しい読書との向き合い方を身につけていくんです。

スタミナ期の壁

お気に入りを手軽に楽しむ読書から、長い本でもじっくりと読み、さまざまなジャンルに興味を広げていける読書を身につけるためのスタミナ期。その成長を手に入れるためには、じっくりと読む力をつけ、「3つの壁」を乗り越えることが必要なんです。

長さの壁

「スタミナ期」を迎え、本の文章量が長くなることで起こる一番大きな変化は、一度の読書で1冊を読み終えられなくなることです。

これまで「1回で1冊」のリズムに慣れていた子どもにとって、数日に分けて一つの物語を追うのは大きなハードルとなります。

読書の間隔が空いても、昨日読んだ内容と今日の展開を頭の中で繋ぎ合わせて読み続けられる。そのためには、文章を集中して深く読み、話の流れをしっかり頭の中に定着させるための「読む力」が大切になってくるんです。

語彙や表現の壁

読む文章が長くなると、難しい漢字や知らない表現に出会う機会も増えていきます。けれど、そのたびに読む手が止まってしまうと、お話の流れを楽しく、スムーズに追うのが難しくなってしまいます。

例えば、これまでは「悲しい」とそのまま書かれていた感情が、「顔が曇る」や「心が沈む」といった間接的な言葉で表現されるようになります。

こうした表現の変化につまずかず、楽しく読書を進めていくためには、前後の文章から言葉の意味を「推測する力」が必要になってくるんです。

ジャンルの壁

夢中になれるシリーズやジャンルに出会えることは、読書を楽しむための素晴らしい第一歩です。しかし、似ている本だけを読んでいると、興味の幅が広がらず、新しく楽しめる本に出会うチャンスが減ってしまいます。

特に「スタミナ期」を越えて長編に挑戦するようになると、一冊の本の中で多様なテーマや価値観が複雑に絡み合うようになってきます。

このようにステップアップしていく読書にお子さんがスムーズに対応できるよう、このフェーズでは特定のジャンルに偏らず、幅広い作品の面白さに触れながら多角的な視点を養うことが大切なんです。

「楽しく→たくさん→幅広く」で、辛抱強くも無理のない読書を。

「3つの壁」を乗り越え、スタミナをつけていくこのフェーズでは、劇的な成長がすぐに見えるとは限りません。着実な蓄積が力を育てていくんです。そんな時間のかかる長い道のりだからこそ、「楽しく→たくさん→幅広く」のサイクルが、お子さんが夢中で読書を続けていくカギになるんです。

楽しく

「スタミナ期」においてまず大切なのは、お子さんが心から楽しめるジャンルやシリーズを一つ見つけることです。例えば「マジック・ツリーハウス」シリーズなど、「この作者の本なら間違いない」と思えるお気に入りの作品を見つけて読み進めるのもおすすめです。

このように、「好き」という気持ちを原動力にすることで、少し長めの本でも夢中になって読むことができます。そして、最後まで読み切る達成感を味わうことが、お子さんが「自分は長い本でも楽しく読める」と思える自信につながるんです。

この「長い本も楽しめる」という実感を得ることこそが「スタミナ期」のスタートラインになります。そうすることで、さらにたくさんの作品へ挑戦していくための土台が整っていくんです。

たくさん

お気に入りのジャンルやシリーズで長い本をたくさん読んでいくことで、長い文章を集中して読む力が育っていきます。

長さに慣れ、一度の読書で物語の流れをしっかりと掴めるようになることで、お子さんは数日に分けて一冊の本を読んだ時にも、しっかりと前後のストーリーの繋がりを理解できるようになります。

さらに、たくさんの文章に触れることで、多少難しい漢字や言葉が出てきても、文脈から意味を推測して読む力が自然と養われていくんです。

幅広く

自分の好みに合った本を読み切る集中力がついてきたら、その「好き」を入り口に新しいジャンルへと手を伸ばしていくタイミングです。

例えば、冒険ものが好きなお子さんであれば、主人公が訪れた地域の文化に関する本へ繋げてみるなど、段階的に読書の幅を広げていくことが大切になります。

こうして徐々に広げていくことで、日常の物語から歴史、科学などの少し難しいジャンルの本まで無理なく楽しめるようになり、将来の読書体験を支える確かな土台を築くことができるのです。

💡「チャレンジしたジャンルがやっぱり難しかった……」そんな時は!

新しいジャンルへ挑戦し始めた頃は、知らない言葉が多いこともあり、はじめはうまく楽しめないことも珍しくありません。

そんな時は、思い切ってヨンデミーレベルを少し下げた本を読んでみましょう。

言葉がやさしく、最後まで楽しく読み切れる本を通して、無理なく新しいジャンルの知識や面白さに触れていく。そうして少しずつ土台を築くことで、再びヨンデミーレベルを上げたときにも、難しい本をしっかり楽しめるようになります。

やっぱりフェーズ4の道のりはじっくり、しっかり。

受講生の一人であるツムギ(仮名)さんの「スタミナ期」での道のりも、じっくりと読書と向き合うことの積み重ねでした。

小学校1年の1月に「スタミナ期」に入り、小学校2年の3月にフェーズを卒業するまで、じっくり一年以上をかけて、長い本を読む力を身につけていったんです。

そんなツムギさんの「スタミナ期」での成長の道のりは、フェーズの中の3つの地点で読んだ本を比べるとよく見えてきます。

『はれときどきぶた』矢玉四郎 作・絵(岩崎書店);『ぐらぐらの歯』ドロシー・エドワーズ 作、酒井駒子 絵、渡辺茂男 訳(福音館書店);『魔女の宅急便』角野栄子 作、林明子 画(福音館書店)

3つの作品の文字数を比べてみると、ステップアップの様子は一目瞭然です。ですが、ツムギさんも、一日二日でいきなり長い本が読めるようになったわけではありません。

グラフからもわかるように、まずは「無理なく楽しめる本」からスタートし、「たくさん」「幅広く」いろいろな作品に触れてきたからこそ、短い本から卒業し、少しずつ読める本の長さを伸ばしていけました。

焦ることなく、辛抱強く読書を重ねていくこと、それが「スタミナ期」で読む力を身につけるためにはやはり大切になります。

焦らず、じっくり。「スタミナ期」で長編への土台づくり

「スタミナ期」は、お子さんのこれからの読書を支える大切な土台づくりの時期です。このステップでしっかりと力をつけることで、長編に進んだ時にも、途中で挫折することなく、本を楽しむことができるようになります。

体力づくりに時間がかかり、辛抱強さも必要なフェーズですが、決して急ぐ必要はありません。

焦らず着実に力を身につけていけるよう、「楽しく→たくさん→幅広く」を軸にして、夢中になれる無理のない読書を続けていきましょう。


▽フェーズ4・スタミナ期の乗り越え方について解説する保護者説明会を開催します!

11/6(金) 10:00〜10:45 フェーズ3・4「絵のない長めの本に進めない…。アフターゾロリの本選び」

「絵がないと場面が思い浮かばない」「翌日には前の話を忘れてしまう」「なじみのない題材になると内容を追いにくい」などでつまずくこの時期。

長さだけで次の本を選んでしまうなど、保護者さまのサポートで起こりがちな失敗を取り上げながら、ブリッジ期・スタミナ期の乗り越え方を解説します。

▽フェーズ4・スタミナ期を乗り越えたヨンデミー受講生の体験談はこちら

▽次のフェーズ:長編児童文学期については今後解説いたします。

▽ぜひ感想をお聞かせください!

ずみ

ヨンデミー 編集部