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地頭がいい子は、ありふれた言葉・数字の「たつじん」なだけ

2026.06.03

地頭がいい子は、ありふれた言葉・数字の「たつじん」なだけ

前回のnoteでは、地頭は育てられるもので、そのカギは「記号接地」にあるというお話をしました。
▽前回のnoteはこちらからご覧ください。

今回のnoteでは、地頭がいい子どもの頭の中では、どのようにして生きた知識が作られているのかについてお話ししていきます。

目次

  1. 地頭がいい子はありふれた言葉・数字の「たつじん」?
  2. 子どもは推論の天才
  3. 学校の勉強ではその力を生かせない場合もある
  4. いろいろな使われ方に出会った数で差が開く
  5. 応用問題が解けるのは、解き方が身体に染みついているから

地頭がいい子はありふれた言葉・数字の「たつじん」?

周りにいる地頭がいい子はこんな子ではありませんか?

  • 勉強に苦戦しない、なんなら応用問題まで解ける
  • 話すのが上手で、コミュニケーション力がある
  • 「そんな言葉まで知っているの!?」というような難しい言葉を使える

周りのお子さんと比べて頭一つ抜けていて、まるで学びの「発展編」に進んでいるように感じられます。

ですが、地頭がいい子って特別な力を持っているわけではないんです。

どうしても、「応用問題を解いている」「難しい言葉を使っている」といった発展的なところに目が向きがちですが、地頭がいい子の本当にすごいところは実はそこではありません。
ありふれた言葉・数字がちゃんと記号接地していて、まさに「たつじん」。ただそれだけです。

「たつじんテスト」にちなんで、記号接地している状態=「たつじん」と表現しています。

では、ありふれた言葉や数字に記号接地できる子とできない子がいるのかというと、そうではありません。子どもはみんな記号接地する力を持っています。

子どもは推論の天才

今井むつみ先生は、子どもの学ぶ力についてこのように書いています。

子どもは「自分で発見して考えて学ぶ」驚異の存在なのです。 

出典:今井むつみ『親子で育てる ことば力と思考力』

今井先生は、「自分で発見して考えて学ぶ」力を、母語習得の過程に注目しながら、推論の力として説明しています。

例えば、ウサギを覚える時。
最初に白くて耳の立ったふわふわした小さなウサギを「ウサギさんだね」と教えられると、子どもはそれがウサギだと覚えます。それからは、 耳の長さが短いとモルモットなどの違う動物であることに気づいたり、耳が垂れていてもウサギであることを知ったりします。

参考文献:今井むつみ『親子で育てる ことば力と思考力』

そうして「ウサギ」という言葉や概念の使える範囲を、自分で推測をしながら修正していきます。これが推論です。推論とは「世界のルールを見つけていくこと」とも言えるかもしれません。

このように、子どもは日本語を覚える過程でたくさんの推論をして、気づいたルールを細かく修正して日本語を習得しています。母語の習得は、まさに世界を自分に「接地」させていく動きです。

そして、日本語の習得は、頭がいい子に限った話ではなくて、子どもはみんなやってきたことでもあります。推論の力自体は子どもがみんな持っている極めて優れた力なんです。

学校の勉強ではその力を生かせない場合もある

では、どうして学校の勉強にはつまずいてしまうのでしょうか?
一言で言うと、推論や修正をするチャンスがないからです。

具体例として、「等しい」という言葉で説明していきます。
算数で頻繁に登場するこの言葉、実は4割以上の子どもが「大きい」「近い」と誤解しています。
(出典:『算数文章題の解けない子どもたち』)

このような誤解が起こる理由は、教科書や授業の中では「等しい」がいつも同じような文脈でしか出てこないからです。そのため、「本当は違う意味で使われている」と気づくチャンスがないのです。

この誤解を直すには、「等しい」を「近い」という意味で読むと不自然になる場面に出会うことが大切です。いろいろな文脈で触れて、「今までの意味と違うぞ」と気づく体験を積むことで、「等しい」の正しい意味が記号接地していくのです。

いろいろな使われ方に出会った数で差が開く

子どもは推論の天才です。
しかし、子どもによって言葉や数字のいろいろな使われ方に出会う機会には差があります。自分が知っている意味と比べて「違うかも」と気づけるかどうかは、その出会いの数で大きく変わります

しかも、そうした「こうかな」「違うかも」という思考の差は頭の中で行われていることが多く、周りで見ていても気づきにくいものです。必ずしも、ノートに書いたり声に出したりするものではありません。

地頭がいい子は、ありふれた言葉や数字でも、いろいろな文脈で出会い、その度に推論を積み重ねています。だからこそ、「生きた知識」として必要な時に使えるのです。

応用問題が解けるのは、解き方が身体に染みついているから

「たつじん」はその都度、言葉の意味を一から考えているわけではありません。
日本語で会話する時に自然に言葉が出てくるように、言葉や数字の知識もスムーズに使える状態になっているのが「たつじん」です。このスムーズさが、応用問題を解けたり、難しい言葉を自在に使えたりすることにつながっています。

例えば「み・は・じ」で習う、道のり・速さ・かかった時間を計算するような問題。子どもにとっては、公式も覚えなくてはならないし、大きな桁の計算になったりして大変です。

それに加えて、「1時間って何分?」「1kmって何mだっけ?」と基礎の部分で立ち止まってしまうと、考えることが多すぎて処理しきれません。

一方で、地頭がいい子は、生活の中で体感と結びついている「たつじん」です。普段から時計を見て時間を確認したり、「家から学校までは大体〇kmくらい」と意識して歩いてみたりして、すっかり身体に染みついています。

だからこそ基本に悩まされず、余裕をもって応用部分に頭を使える。そうやって新しい知識をまた記号接地していき、さらに賢くなっていくのが「地頭がいい子」の特徴です。


▽第3回のタイトルは
「小学校の勉強に潜む、記号接地していないと難しいシチュエーション4選」
ありふれた言葉や知識に記号接地せずにいきなり応用をしようとすると、とても難しいもの。しかし、そういう場面が多いのが小学校の勉強です。

お子さんのつまずきポイントをチェックしてみませんか?

きぬ

ヨンデミー 編集部