教えて! 今井むつみ先生②:スラスラ音読できないのはどうして? ーー子どもの視点で見る音読の難しさ
2026.06.04

認知科学の第一人者で慶應義塾大学名誉教授の今井むつみ先生との勉強会のレポート第2弾です!
今回は、「子どもたちが音読でつまずくのはなぜ?」がテーマの勉強会でした。
音読のお悩みを解決するために、子どもの学びのメカニズムを研究している今井先生に詳しく聞いてきました!
目次
- 音読は工程が複雑だから難しい
- 難しい文章の音読を続けるのは逆効果?
- 音読の練習には楽しめる簡単な本が最適
- 読み聞かせが音読の上達に有効!?
音読は工程が複雑だから難しい
勉強会の最初に今井先生にこんなことを聞いてみました。
「ヨンデミーには音読に関するお悩みがよく寄せられるのですが、どうして子どもたちは音読が苦手になってしまうのでしょうか」
すると、こんな答えが返ってきました。
「音読は子どもにとっては複雑で難しいんですよね」
「実はただ文字を読むだけではないからこそ、大人が思っているよりも多くの子どもがつまずいてしまうんです」
認知科学の観点で音読の工程を分解すると、このように分けられるそうです。
①文字を画像として認識する
②認識した文字を音に変換する
③文章を分解して単語として認識する
④文脈に合わせてそれぞれの単語や文章の意味を理解する
例えば、こんなお子さんが③でつまずいています。
小さいお子さんが「蚊に刺される」のことを「”かに”にさされる」と言っているのを聞いたことはありませんか? お子さんにとって1文字の単語は単語として認識しづらく、知っている単語である「かに」の音を発音してしまうんです。
これがまさに「単語としての理解ができていない」状態です。
このように、それぞれの工程につまずいているお子さんがいます。
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難しい文章の音読を続けるのは逆効果?
「音読の宿題や練習は必要だけど、難しい文章を音読し続けていても上達しません。むしろ苦手になってしまいます」
今井先生は、音読の練習についてそんな懸念をおっしゃっていました。
「子どもは、ものごとがなかなか上達しない状態が続くと『自分には無理なんだ……』と自信を無くします。そうすると苦手意識を持つようになり、もっと嫌いになってしまいます」
音読の練習でも、まさにそんな悪循環に陥ってしまう可能性があるんです。

難しい文章の音読を続けていても音読が上達しない理由については、こんな説明をしていました。
「音読の練習に難しい文章を用いることは、音読をスムーズに行うための①~④の工程を一気に習得しようとする行為なんです」
「一つひとつの工程が子どもにとっては難しいので、同時に習得することはできません。①でつまずいているお子さんは、まずは①から段階的に習得していく必要があります」
「これは運動の練習と同じです」
たしかに、いきなりバク転ができるようにはならないですよね。まずはでんぐり返しで体の動かし方を学んだり、補助をつけて練習したりしてから、難しい技に挑戦していくと思います。
音読も、運動のように簡単な段階からチャレンジしていくことで上達していきます。
音読の練習には楽しめる簡単な本が最適
「そういえば、少なくはない数の子どもにとって国語の教科書の文章は難しすぎるという結果が出ましたね」
難しい文章を音読し続けていても音読は上達しないという話を聞いて、私たちは以前教科書の文章のヨンデミーレベルを調べたときの結果を思い出しました。
💡ヨンデミーレベルとは
文章の難しさを測るヨンデミー独自の指標です。漢字や漢語の割合、一文の長さを基準にして決定されています。
学年によらない目安で、それぞれのお子さんの読む力に寄り添った指標です。


例えば、小学4年生のお子さんのヨンデミーレベルの幅は27~46までにわたっています。同じ小学4年生でも、小学校2年生くらいの読む力をもったお子さんから、中学生くらいの読む力をもったお子さんまでいるんです。
そして、小学4年生の国語の教科書のヨンデミーレベルは35でした。この結果は、約3分の1のお子さんにとって教科書の文章は難しすぎるということを示唆しています。
この話を聞いた今井先生は、こんなことをおっしゃっていました。
「だからまずは楽しめる簡単な本を読んだ方がいいんですよね」
「子どもは、文章に夢中になることではじめて、その柔らかい頭で文章をの読み方を吸収することができます。絵本でもいいので、まずは楽しく本を読む習慣をつけることが大切です」
簡単な本を読むことで、文章を読むこと自体が楽しくなる好循環が生まれるんです。
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読み聞かせが音読の上達に有効!?
「隣に並んでお子さんにも文章が目に入る状態での読み聞かせが音読の上達には有効です」
今井先生は、簡単な本を選ぶことに加えて、読み聞かせが大切だといいます。
「親が文章を読み上げるのに合わせて文字を目で追うことで、お子さんは『この単語はこんな発音なんだ』『この文章は悲しい話なんだ』などと学んでいきます。そうして何度も読み聞かせをしていると、読み方やリズムを覚え、自分で読むときにも真似できるようになっていくんです」
だから、音読の練習方法として読み聞かせは理にかなっているのだそうです。
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「読み聞かせに対象年齢はありません」
今井先生はそんな補足もしていました。
「一見文字を覚えたお子さんも、音読の①~④の工程をすべて習得したわけではありません。日本では文字を覚えると読み聞かせをしなくなってしまいますが、ぜひずっと続けてほしいです。」
音読のための文章を読む力を身につけるためには、何歳になっても、どんな本でも読み聞かせをしていいんです。
今回も、「音読が子どもにとっては難しいこと」や「音読の上達に絵本や読み聞かせが有効なこと」など新たな知見を得られた学びの多い勉強会でした。
今後も今井先生から学んだ知見をみなさまにお届けしていきます!
▽ぜひnote記事の感想をお聞かせください!
https://forms.gle/1VQk7ojVFutGmEGDA
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今井先生にお聞きしたいテーマなどもご自由にお書きください。
▽「子どもが読解でつまずく理由」を伺った前回のレポートもぜひご覧ください

