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Yondemyの想い

読書家の強みを引き出すYondemyのバリュー

2026.06.05

読書家の強みを引き出すYondemyのバリュー

ヨンデミー5周年のnote三部作、最後の記事です。

第一部は、私たちがどんな未来を信じているのか。
第二部は、その未来をどのような事業構想で実現しようとしているのか。

三部作の最後に話したいのは、未来でも事業でもなく、それを実装している組織の話です。

Yondemyの組織の根幹、それは「バリュー」です。
描く未来や事業構想と並んで、バリューはYondemyにとってかけがえのない強みになっています。

多くのスタートアップが、カルチャーを大切にする中でバリュー(行動指針)は重視しているでしょう。
一方で、バリューが組織の最大の武器になっていると断言できるほど、強度高く・密度高く運用している会社はそう多くないと思います。

Yondemyにおいてバリューは、日々の会話やSlackコミュニケーションなど、価値観・行動のコンパスとして完全に仕事の土台になっています。
褒め言葉もフィードバックも、バリューに紐付きます。

Yondemyには3つのバリューがあります。

  • 本質を問う
  • 言葉に敬意を
  • 自分ごとを拡げる

そして、それぞれのバリューに「Do」が3つ、「Don’t」が2つ、設定されています。

Yondemyには、「本があったから今の自分がある」「本に救われた経験がある」、そんな読書家たちが集まっています。
バリューは組織文化の土台であり、そんな読書家たちの力が最大限引き出されるように設計しました。

また、それは同時に、日本中の人が「読む」ようになった先の未来の姿のヒントになるかもしれません。

このnoteでは、この3つがどこから生まれたのか、なぜここまで深く組織に根付いているのか、そしてなぜこの三部作の最後の記事として語りたかったのか、を書きます。

目次

  1. 読書家の強みを引き出す行動指針
  2. 本質を問う
  3. 言葉に敬意を
  4. 自分ごとを拡げる
  5. カルチャー強度の源泉
  6. 7期目を迎える今になって、ようやく見えてきたこと
  7. おわりに

読書家の強みを引き出す行動指針

Yondemyのバリューが形になったのは、創業から2年弱がたち、組織が少しずつ大きくなり始めた頃でした。
創業メンバーだけで回していた会社に、新しい仲間が増え、これからさらに人が増えていく。
その中で、「Yondemyらしさとは何か」「何を大事にし続けたいのか」を、きちんと言葉にする必要が出てきました。

この時の出発点は、はっきりしています。
私たちは、Yondemyメンバーの多くが「読書家」であったことに助けられてきました。
本をたくさん読んできた人、本に救われてきた人、言葉や物語に強く支えられてきた人。
そういう人たちが自然に持っていた強みが、組織の良さを作っていた。

例えば、すぐにわかった気にならず、立ち止まれること。
言葉を雑に扱わず、ニュアンスまで大切にすること。
自分の外にいる誰かの立場や気持ちを、想像しようとすること。

一方で、同時にこの強みは、逆に弱さにもなりうるところでした。
深く問うあまり、行動を起こせない。
対話を重んじるあまり、枝葉末節の議論に終始する。
相手へのリスペクトが強いあまり、フィードバックに遠慮が発生する。

だから、Yondemyのバリューは、読書家の良さをただ称賛するためのものではなく、その強みを組織の中でどう良いかたちで発揮されるように整えていくか、まで含めて作られています。

実はバリューは4年前の制定から全く変わっていません。
議論はありましたし、サブバリューと呼ばれる、バリューを補完する標語も社内ではいくつか生まれましたが、それでもこの3つが最も土台にふさわしい。
そんなバリューを、まずはそれぞれ紹介します。

本質を問う

Do
- 根本的な構造をシンプルに整理する
- 目的意識を持ってフォーカスする
- 前提の変化に柔軟に対応する
Don’t
- 場当たり的な解決策に終始する
- 枝葉末節や表面的な議論に囚われる

私がバリューを検討した際、このバリューが最も早く決まりました。

本質を「見抜く」や「見極める」ではなく、「問う」
本当に大事なものが何なのか、これは何のためにやっているのか、前提から疑う。
表面的な議論に流されず、しっかりと向き合う。

バリュー制定当時。Yondemyにジョインしたメンバーは、必ず最初に「児童書のタグ付け」の業務を取り組んでいました。

日々図書館から大量の絵本・児童書を借りてくる。
一冊一冊、読む。
その本の特徴をタグで整理し、データベースに入力する。
その本はファンタジーの話なのか、愛の話なのか。主人公の性格は変わりものなのか、ひねくれものなのか、大胆なのか、そもそも今あるタグでこの本の本質を表現しきれているのかを議論する。
そうして、子どもたちに選書として届けるための情報を作る仕事です。

タグを機械的に入力していく単調作業にすることもできれば、逆に、時間意識を失い物語としてたっぷり楽しんでしまうこともできる。
しかしこの仕事は、目の前の一冊が、いつか誰かの「次に読む本」になる。
出合うべき本が届くように。
読まれるべき人に届くように。
入力するデータの精度がそれを左右する。
一冊でも多くの本を早くデータにすることで、出合うべき本に1日でも早く出合わせてあげたい。

ここで作った情報が、子どもたちの読書体験に直結している。
そう考えると、同じ手元の作業でも全く意味が変わります。

「本質を問う」は、抽象論に逃げることではありません。
細部を細かく見ることでも、無闇に議論を増やすことではありません。
細部を意味あるものにするために、何度でも目的に立ち返る、ということです。

これは読書家の強みの一つだと思います。
表面の情報だけでわかった気にならず、「これは本当は何を言っているんだろう」「何が大事なんだろう」と問い直す力。
「読む」中で「問う」ことが身についていく。
読書が持つ価値の一つとして深く信頼しています。

言葉に敬意を

Do
- 相互にリスペクトし、違いを認める
- 言葉の精緻さを重んじる
- 相手の文脈を踏まえてコミュニケーションをとる
Don’t
- 自分の思想・価値観を押し付け、排他的になる
- 議論の前提を揃えず、すれ違いを放置する

これは最も「読書家らしい」と皆さんに思っていただけるバリューなのではないでしょうか?
ポイントは、英訳は「Respect Communication」を当てていることです。 丁寧な言葉遣いや思いのこもった言葉選び、それらも大事ですが、このバリューにはもっと広い意味を込めています。

人はそれぞれ、経験も、立場も、知っていることも違います。
同じ言葉を使っていても、前提が違えば簡単にすれ違います。
Yondemyの中でも、ひとくちに読書家と言っても、それぞれが経験してきた読書体験は違います。

だからこそ、自分が何を前提に話しているのか、相手は何を知っていて何をまだ知らないのか、相手にとって自然なことと自分にとって自然なことは違うかもしれないことを、丁寧に扱う。

例えば、Yondemyでは社内の教育も、本を中心に行われます。
ジョインしてすぐに読む本、マネージャーになったら読む本、マーケティングに携わるなら読む本など、本を軸に社内教育がデザインされています。

しかし、その本をただ読むだけではなく、必ず「読書会」を行います
それぞれにとってその本は、どういう意味を持つ本だったのか。それはその人のどのような経験に紐づく解釈なのか。それをYondemyに紐づけるとどのような解釈になるのか。過去にYondemyではどのような事例があったのか。その本はこのようなタイプの企業を前提として書かれているが、Yondemyの場合はこういう部分が違うので、ここは鵜呑みにしない方がいい。などなど。

これは本だけの話ではありません。
社内のドキュメント一つとっても同じです。
長くYondemyにいるメンバーは背景が共有されていますが、新しく入った人は当然それを知りません。
だから「伝えたはず」「わかるはず」で進めない。
必要なら前提から揃え直す。
Yondemyはそれを、遠回りであると考えません。

フィードバックの場でも同じです。
率直に伝えることと、正しさで押し切ることは違います。
相手の意図や文脈を見ずに、自分の一方的な視点からの正しさで話せば、議論は前に進んだようでも、失うものがあります。
正しさを考える前に、前提のすれ違いを疑うこと。

「違い」は資産です。
それぞれ違う経験があり、違う視点から物事を捉えているから、多様な解釈が生まれます。
多様な解釈は、新しい価値の源泉です。
だから、Yondemyでは違いがあることを前提に、その違いを雑に扱わず、それでも前に進める言葉を探すことを大切にします。

これも間違いなく読書家の強みの一つでしょう。
本を読んでいると、同じ意味でも言い方が違うこと、その違いに込められた想いが重要であることがわかってきます。
逆に、同じ言葉でも全く違う意味を持ちうることもわかるでしょう。

自分と全く違う人の、全く違う背景の、全く違う価値観とかず多く触れられるのも、本の良いところです。
読書家だからこそ、そこに敬意が持てるのではないかと思います。

自分ごとを拡げる

Do
- 積極的にボールを持つ
- 高い視座・広い視野を持つ
- 自分の外へと想像力を働かせる
Don’t
- 職掌や役職に遠慮し、アクションを制限する
- 自己中心的・近眼的に考える

三つ目の「自分ごとを拡げる」は、ぱっと聞いただけだと少しわかりづらいかもしれません。
このバリューは最も時間をかけて悩みましたが、最終的に「自分ごと」という言葉を当てました。

特にスタートアップは、会社が急成長する中で業務範囲がどんどん拡がり、既存の組織内の役割だとカバーされないタスクが生まれます。
その中では、自分の責任や想像力の主語を、自分の担当範囲だけに閉じないことが求められます。

そこに明確な課題がある。
誰かがボールを持たないと進まない。
そんな時にパッと手が伸ばせる、その一歩がとても大切です。

ただし、このバリューは、社内だけの話ではありません。

僕らが向き合っているのは、子どもたち、保護者の方々、学校の先生、図書館、書店、出版社といった、自分の外側にいるさまざまな人たちです。 だから、自分の席から見える景色だけで完結してはいけない。
そういう意味合いも含めて、主語を自分に閉じず、外へ外へと拡げていく。

例えば、あるチームの施策が、別のチームの運用や、保護者の方への体験にどう影響するかを考える。あるいは、自分の担当ではなくても、子どもたちにとって違和感が起きそうなら声を上げる。

これは読書家にとって、本来強みになりうるが、弱さにもなりかねない部分です。
想像力がある。
自分ではない誰かのことを想う経験もある。
大きな大きな強みです。

しかしそこで、知識や共感で終わらせず、一歩踏み込む必要がある
課題が見えていたとして、今の自分の責務を飛び越えてそこに一歩踏み込むことは、言うは易し行うは難し、です。

だから、「自分ごと」を少しずつ拡げていこう。
自分ごとだからこそ、そこに必死に、ひたむきになれる。
動かざるを得ないくらい。
考えるよりも前に手が伸びるように。

でも究極的には、当事者でなければ、本当の意味での「自分ごと」にはならない。
その限界から目を背けず、それも含めてしっかりと抱え込む。
だから、自分ごとにするのではなく、自分ごとを拡げる。
少しずつ、一歩ずつ、拡げ続けるよう努める。
そんなスタンスが大切だと考えています。

カルチャー強度の源泉

さて、ここまでYondemyの3つのバリューを紹介してきました。
しかし、バリューにおいて重要なのは、それが組織にどれだけ深く根づいているのか。

実は、バリューについてここまで丁寧に言語化したのは、このnoteが初めてのことです。
社内にカルチャーブックのようなものがあるわけでもありません。

しかし、日々の会話やSlackコミュニケーションの隅々までバリューは行き渡っています。
例えばSlackでは3つのバリューに対応するスタンプがあり、平均すると週におよそ3,000件以上、この半年の中での最大値だと週に17,155件押されていました(この時、上位7人は1,000件以上のバリュースタンプを押していました)。
まさに、息を吸うようにバリューに紐づくコミュニケーションが飛び交っています

なぜこれほどの強度で根付いているのか。
それは、人から人へと、日々の中で譲り渡されてきたからです。

この4月、新卒が5名入社すると、Yondemyは代表である私を含めて役員/社員14名の組織になります。
そのうち、完全な中途入社は1名。
その他は全員、学生時代からYondemyに関わってきたメンバーです。

例えば今年入社する5名も、長いと4年以上インターンとして関わっていますし、昨年は3名の新卒が入社しています。
さらに、14名の役社員の他に、現在も学生インターンが20名前後働いています。

ここで言いたいのは、新卒・学生が中心になっているという話ではありません。
実際、副業・フリーランスという形で10名強の、若手が多い組織に不足するスキルや経験を補完する形で関わっていただいていますし、中途採用も強化中ですので、若手だけ回っているというわけでも決してありません。

Yondemyのバリューは資料に書かれているから浸透しているのではなく、学生時代から何年も、一緒に議論をして、フィードバックを受けて、また新しいメンバーに伝えて、その繰り返しで少しずつメンバーの中で身体化されてきた、ということです。

バリューは制度としてではなく、「仕事の共通言語」として、メンバーの血肉となり根づいていると言った方が近いと思います。

一方で、これは閉じた組織であるという話でもありません。
むしろ逆で、ここまで共通言語として根づいているからこそ、新しく関わるメンバーもYondemyで過ごす日々の全ての接点からバリューを感じることができます。
学生インターンや副業・フリーランスの方を含めると全体40名ほどの組織規模となりますが、新しいメンバーに対して価値観が継承される密度が非常に高く、むしろ語り直されるたびに日々強度が高まっています

そして、ここまでの強度でバリューという共通言語が備わっているからこそ、新しいメンバーもスムーズに経験や専門性を活かしたパフォーマンスを発揮できる環境が整っています。

7期目を迎える今になって、ようやく見えてきたこと

三部作の最後のnoteでYondemyのバリューに触れたかった理由。
それは今になって、このバリューに込めた私の想いは、第一部で語った私の願いにつながっているということに気がついたからです。

第一部で、このように書きました。

このnoteを読んでくださっている方も、そういう経験があるんじゃないかと思います。

送ろうとしたメッセージを、一度消して書き直したこと。
目の前の誰かに反論したくなった時に、「でも、その人なりの前提があるのかもしれない」と問い直したこと。
強い言葉で言い切ろうとした時に、「相手に勝ちたいのではない、分かり合いたいんだ」と踏みとどまったこと。
(中略)
立ち止まる人が増えること。
問い直せる人が増えること。
言葉を選び直せる人が増えること。
自分の外にいる誰かを想像できる人が増えること。

そんな人たちが増えたら、社会の分断は少しずつ縮まり、世界は今より平和に近づいていくんじゃないか。

これはそのまま、本質を問う・言葉に敬意を・自分ごとを拡げるに重なることに気がついたのです。

Yondemyのバリューは、もともとは組織の行動指針として生まれたものです。
読書家の強みを引き出し、組織の中で良いかたちで発揮されるように整えるためのもの。

Yondemyが「読む」を増やして実現したい未来。
その未来のミニチュア版として、まずはYondemyという場で実現したい。

これは第一部を読んだ弊社メンバーが、Slackに投稿していた感想です。

Yondemyが組織の中で守ってきたものと、読書教育を通じて社会にひらいていきたいものが、6年目の今になって繋がってきた。
私には、そう見えています。

笹沼颯太

ヨンデミー 編集部