#134 絵本作家・きたじまごうきさんに聞く! 絵本『かいぞくほいくえん』ができるまで
2026.06.19

※この記事は、Podcastの内容を一部ピックアップしてお届けしています。詳しい内容は本編をチェックしてください。
今回は、ヨンデミーでも大人気のおすすめ絵本『あたりかも』や、新刊『かいぞくほいくえん』の作者であるきたじまごうきさんを、前回に引き続きゲストにお迎えした特別回です!
今回は、前回出題された『あたりかも』のクイズの答え合わせや、新刊『かいぞくほいくえん』の着想から完成に至るまでの貴重な「制作の裏側」に迫ります。保護者さまはもちろん、お子さんも一緒に楽しんでいただける内容になっています。
▽ 音声でじっくり聴きたい方はこちらから!
今回の登壇者
きたじま ごうき
絵本作家。今回の特別ゲスト。代表作に『あたりかも』『とっておきのカレー』『かいぞくほいくえん』など。
きぬ
ヨンデミーメンバー。「おうち読書のミカタラジオ」編集長であり、メインパーソナリティを担当。
目次
- 前回のクイズの答え合わせ! 『あたりかも』大ヒント
- 新刊『かいぞくほいくえん』ってどんな絵本?
- きたじまさんに聞く! 絵本ができるまで
- 着想のきっかけは「パワフルで無秩序な子どもたち」
- ラフ作りと、編集者さんとの二人三脚
- 細かくて大変! パステルと型紙を使った作画作業
- 最後に「言葉」を磨き上げる
- おわりに & 次回予告
前回のクイズの答え合わせ! 『あたりかも』大ヒント
きぬ:
本日は前回に引き続き、絵本作家のきたじまごうきさんにお越しいただきました。きたじまさん、自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか?
きたじまさん:
はい、絵本を作っています、きたじまごうきです。どうぞよろしくお願いします。
きぬ:
よろしくお願いします! 前回のラジオでは、『あたりかも』のパステルという画材の秘密や、探し絵の秘密、ダジャレの秘密についてお話ししていただきました。
そして前回、皆さまに「謎解き」をお伝えしていましたよね。『あたりかも』の最後のページにある「あたりたい」「あたりくさ」のさらに奥にある伝説のお宝は一体何なのか? というクイズです。きたじまさん、大ヒントをいただいてもいいですか?

きたじまさん:
はい、大ヒントでございます。これは小学校に上がって地図の勉強をしていないとちょっと難しかったかもしれないのですが、方角を示すマークになっていて、その左側が「手」になっているんです。北・南・東・西ってありますよね。西(にし)のところに手が「パー」の形でついているんですね。そうすると、これは「あたりニシパー」になるということで。これが最大のヒントでございます。
きぬ:
なるほど! モヤモヤしていた方も「そういうことか!」となったのではないでしょうか。ぜひ絵本を読んで謎解きを考えてみてくださいね。大ヒント、ありがとうございました。
新刊『かいぞくほいくえん』ってどんな絵本?
きぬ:
さて今回は、出たてほやほやの新刊『かいぞくほいくえん』について、「絵本ってどうやって作っているんですか?」という制作の裏側を聞いていけたらと思っております。まずは、どんな絵本か教えていただいてもいいですか?
きたじまさん:
『かいぞくほいくえん』は、空飛ぶ海賊船「レッドドロンコ号」に住んでいる20人の子どもたちのお話です。この保育園にいる子たちはみんな海賊なんですね。海賊の服を着て、宝探しがあったり、決戦があったり、海賊のような1日が始まります。ファンタジーな要素もありながら、小さい子どもたちのキラキラした時間や気分をたくさん体験してもらうような、そんな絵本になっています。
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きぬ:
「体験してもらう絵本」、なるほど! ありがとうございます。どんな方に読んでいただきたいですか? やはり、今キラキラしている小学生くらいのお子さんでしょうか?
きたじまさん:
今保育園に行っている子どもたちはもちろんですが、かつて子どもだった大人の皆さんにも読んでほしいですね。親御さんだったらご自身の小さい頃や、お子さんの姿を重ねていただいたり、小学生だったら保育園の頃のことを思い出してもらったり。そんな風に楽しんでもらえたらと思っています。
きたじまさんに聞く! 絵本ができるまで
きぬ:
では、ぜひ制作の裏側を聞いていきたいのですが、絵本って何から作り始めるんですか?
きたじまさん:
とにかく「楽しんでもらいたい」という思いがあって、その要素を探していくんですが……実はこのお話を着想したのは2012年で、相当昔なんです。僕はその頃まだ独身で、小さい子と触れ合う機会があまりなかったので、知り合いの保育士さんを通じて見学に行かせてもらったんです。
着想のきっかけは「パワフルで無秩序な子どもたち」
きたじまさん:
そこは都内にある共同保育所で、園庭がない異年齢保育の園でした。0歳から6歳までみんな一緒に生活していて、毎日公園まで遠征するんです。小さい子たちは大きいカートに乗せて、その周りを大きい子たちが取り囲むようにして「やいのやいの」と行くんです。引率の大人も頭に手ぬぐいを巻いていて、すごく声が大きくて。そのカートが、僕には船やボートみたいに見えたんですね。
きぬ:
それが船に見えたんですね!
きたじまさん:
公園に着くと、子どもたちがワーッと走り回るんです。初対面なので名前もわからないんですが、小さい子たちの服ってカラフルな原色が多いじゃないですか。その色とりどりの服が目の前を走り回って。当時の僕は大人の規律ある生活に慣れていたので、その無秩序でカオスな子どもたちの元気さにものすごくパワーをもらって、「いや、これは海賊だ!」と思ったんです。海賊の保育園って面白いんじゃないかなって。それがお話のアイデアの元になっています。
只今、発売中の絵本「 #かいぞくほいくえん 」
— きたじまごうき (@share2gether) May 8, 2026
近しい方が、お子さんとの読み聞かせを動画で送って下さった。
絵本の中の子に、自分がなったかのように、ページごとに指さしては、声をあげて楽しんでいるようで、
なんとも嬉しいご反応♪
皆さまの、お子様の、ご感想も
どうぞお聞かせ下さいませ♪ pic.twitter.com/ai3ePjproz
きぬ:
エピソードがめちゃくちゃ面白いですね! 保育園ならではの特色も感じますし、子どもたちが集まってワーッと散り散りになって、それぞれ真剣に遊んでいる姿って、本当にパワフルでエネルギーがありますよね。
ラフ作りと、編集者さんとの二人三脚
きぬ:
着想がかなり前とのことですが、そこから今年の出版に至るまで、どのように制作は進んでいくんですか?
きたじまさん:
かなり長い道のりですよ(笑)。まずは「ラフ」という台本のようなものを作るために、落書きみたいにどんどん絵を描いていくんです。描いていくと世界観が見えてきて、「この場面の次はこうかな」と繋がりができてきます。商業出版の絵本は15見開き(32ページ)になることが多いので、15枚の絵として並べてみてお話を作っていくんです。
きぬ:
なるほど、まずは「こういうのが見たいな」という絵を描いて、15見開きに収まるように組んでいくんですね。だいたいこういうのができそうだ、というものがラフとして形になっていくんですか。
きたじまさん:
はい。実は、最初に出来上がった『かいぞくほいくえん』のラフは、内容としては気に入っていたものの、うまくまとまっていなくて企画として出すタイミングがなかったんです。でも2019年に文溪堂さんと絵本を出すことになり、そこで案として出させていただいて、編集者さんと相談しながら作っていきました。
きぬ:
編集者さんと一緒に作っていくんですね。今回はどんなやり取りがあったんですか?
きたじまさん:
最初は「森へ宝探しに行く」みたいな話が少し入っていたんですが、「それはまとめて、最後のクライマックスの方にたくさん割いた方がいいんじゃないですか?」と言っていただいて。確かにその方が面白いなと思って、構成を変えたんです。客観的なアドバイスで新しい発見があるのは、すごくありがたいですね。
細かくて大変! パステルと型紙を使った作画作業
きぬ:
構成が固まったら、いよいよ絵を描いていくんですね。
きたじまさん:
はい。ただ、今回の『かいぞくほいくえん』は20人の子どもたちがいろんなことをしている内容なので、画面上に当てはめていくのがすごく大変でした。ダイナミックな1日を保ちながら、どこで誰が何をやっているかを決めていくのに苦労しましたね。あとは、絵を描くのにもかなり時間がかかりました。今回もパステルを使っているんですが、細かい形を作るのが苦手な画材なんです。なので、細かい型紙を1枚1枚作って、色を抜いていく作業をしました。

きぬ:
海賊船の絵も、子どもたちの身につけているものも、本当に細かいですよね! 20人それぞれが違う動きをしているから、一人ひとりが細かい作業だったんだろうなと読んでいても思います。
きたじまさん:
とにかく細かかったので、型紙がすごい数になってしまって(笑)。それを一個一個塗っていくのが、かなり時間がかかりました。どこにどの色が塗ってあるか合わせないといけないので確認するだけでも大変でしたが、細かく見えながらも温かみのある絵になったらいいなと思って頑張りました。
きぬ:
今の裏話を聞いてから絵を見ると、そのこだわりや温かみがより一層伝わってきますね。
最後に「言葉」を磨き上げる
きたじまさん:
絵が全部出来上がると、実は「文」だけが最終的に変更可能なんですよ。なので、最後の部分で文章をもう一度編集者さんと相談しながらブラッシュアップしていきました。
きぬ:
絵ができてから、また文を練り直すんですね!
きたじまさん:
そうなんです。もともとは「船長さんのナレーション」みたいな感じで進んでいたんですが、絵を見た時に「もっと子どもたちの声をいっぱい入れた方が楽しい感じになるんじゃないか」ということになり、ガラッと変えました。
きぬ:
たしかに、鉛筆の白黒のラフの時と、パステルで色が塗られた時とでは、かなり印象が変わってきそうです。
きたじまさん:
そうなんです。だから、実際に色が塗られた絵が並んだのを見て、「ここはもう絵で伝わるから言葉は必要ないな」とか、逆に「補足した方がいいな」という部分が出てくるんですよね。
きぬ:
ラフ作りから最後の言葉の調整まで、一つひとつの工程に本当にこだわって作られているんですね。絵本を作ってみたいと思っているお子さんにとっても、今回の制作の裏側はすごく大きな参考になるんじゃないかと思います!
きたじまさん:
作家さんによって作り方は全然違うと思うので、あくまで今日話したのは僕のやり方でしかないんですけども。とにかくやりやすいやり方で、楽しく作ってみるのが一番大事だと思います。
おわりに & 次回予告
きぬ:
着想から完成まで、絵本『かいぞくほいくえん』ができるまでの貴重な裏側をお聞きできました。ぜひ、20人の子どもたち全員に注目して読んでみてくださいね!
そして実は……
次回も引き続き、きたじまさんにゲストとして出演していただきます! 次回は、リスナーの皆さまやお子さんから寄せられた『あたりかも』への質問や感想に、きたじまさんが直接お答えしてくださいます。
「アイス王国からどうやって家に帰ったの?」といった疑問から、絵本には描かれていない驚きの裏設定まで、さらに深く楽しいお話を伺っていけたら嬉しいなと思っています。皆さま、次回もどうぞお楽しみに!
▽前回の記事はこちら
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番組へのおたよりをお待ちしています!
今回のラジオが面白かった、ためになったという方は、ぜひおたよりをお送りください。『あたりかも』の最後のダジャレの答え「あたり〇〇」もぜひ送ってください!


