『東大発! 1万人の子どもが変わったハマるおうち読書』【第1章無料公開】
2026.06.07

『ハマるおうち読書』の「はじめに」と「ヨンデミーレベル別 100冊ブックリスト」「第1章」の約1万字分を、無料公開いたします。
特設ページでは、最新版ブックデータも掲載しておりますので、そちらもぜひダウンロードしてお使いください。
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目次
- これからの時代を生きるきみへ
- ヨンデミーレベル別 100冊ブックリスト
- ヨンデミーレベルとは
- はじめに
- 第1章 子どもの人生に読書というパートナーを
- 読書ができれば、他のことはなんとかなる
- 読書教育は、子どもも家庭も幸せにしてくれる
- 「読書のハマり方」がわかれば、子どもは勝手に読みはじめる
- 本よりもラクなYouTubeに流される子どもたち
- 読み聞かせだけでは、子どもは読書にハマれない
これからの時代を生きるきみへ



ヨンデミーレベル別 100冊ブックリスト
100冊からの選び方
お気に入りの1冊が見つかるブックリストを作成しました。
ブックリストはYL(ヨンデミーレベル)別になっており、幅広いジャンルから選書しています。レベルとジャンルから、子どもに合った1冊を探せるはずです。
100冊のその先へ
好きな本が見つかったら、作者やシリーズ、キーワードが同じものを読むなどして、どんどん派生させていきましょう。
ヨンデミーレベルとは
ヨンデミー独自の分析による、本の難しさの指標「YL(ヨンデミーレベル)」。
YLが高いほど、その本が難しいことを示しています。
難しさの分析
本の文章をデータ化し、ヨンデミー独自のプログラムで解析してYLを算出しています。
さらに、本の長さを示す文字数も加えて難しさが決まります。
内容の分析
ヨンデミーでは本の内容についても独自の分析に基づくデータを作成。200以上の項目で分析しています。ブックリストでは「冒険モノ」「ほっこり」「友達」などのキーワードを掲載しています。
100冊ブックリスト






はじめに
はじめまして。子どもが読書にハマるオンライン習い事「ヨンデミー」を立ち上げた、笹沼颯太と申します。
この本を手に取ってくださったあなたは、お子さんに読書をしてほしいと願っている保護者の方でしょうか。教育関係の方や図書館司書の方などもいらっしゃるかもしれませんね。
私たちに共通するのは、「読書によって、子どもにより幸せな人生を歩んでほしい」という願いではないかと思います。
まずは、なぜ私が「読書の習い事」をつくろうと考えたのかをお話しさせてください。
ヨンデミーの構想が生まれる少し前、私は小学生の子どもたちの家庭教師をしていました。
その先々で必ず保護者の方からたずねられたのが「先生はどうして本を読むようになったのですか?」ということでした。
子どもに本を読んでほしいけれど、どうすればいいのかわからない──。思いのほか多くのご家庭に、そんなお悩みがあるのだということを知りました。
そこで思い立った私は、読書の家庭教師をやってみることにしたのです。
具体的には、「本を読まない」という子ども4人に対してそれぞれ週1回、計4回ほどのレッスンを行いました。彼らはもともと読書に対する苦手意識が強く、中にはその苦手を克服するために国語専門の塾に通っている子どももいました。
そんな彼らに対して私が行ったのは、読書の魅力を感じられるよう丁寧にサポートをすること。適切な本選びができるように寄り添ったり、本のおもしろさを伝えたりすることでした。
そうすることで「読書のハマり方」を余すことなく伝えていったのです。
すると彼らにはみるみる変化が現れました。
そして最終的に、なんと全員が自ら読書を楽しむようになったのです。
この経験を通して、私は確信しました。
子どもが本を読むようになるためには、読書のハマり方を教えてくれる先生が必要だったのです。
こうした読書のハマり方を、日本中の子どもたちに届けたい。
そう考えた私は2020年4月、東京大学在学中に仲間とともに株式会社Yondemy(ヨンデミー)を立ち上げ、子どもが読書にハマるオンライン習い事「ヨンデミー」をスタートさせました。
ヨンデミーを提供する中で私は、読書に馴染みがなかった子どもが本に親しむようになり、日々を豊かに楽しむ姿を見てきました。
そして改めて実感するようになったのが、「たのしく習えば、読書はハマる」ということでした。
2024年4月現在、累計会員数1万人を超えるヨンデミーには、子どもが読書にハマる仕掛けが満載です。
本書には、そうした仕掛けの数々を丁寧に落とし込みました。
まず、1・2章では、読書が子どもや家庭にもたらすメリットや、読書習慣を身につけるのが難しい理由、さらには読書をするようになった子どもがどのように変化していくのかをまとめています。
そして1〜5章では、子どもを読書家にするための具体的なノウハウをご紹介しています。3章は「ささる本選び」、4章は「ハマるきっかけづくり」、そして5章では「習慣化できる環境づくり」をまとめましたので、必要と思われる章から読んで実践していただけますと幸いです。
ヨンデミーでは、AI「ヨンデミー先生」が子どもたちの先生です。しかしこの本を読んだ後にはきっと、あなたが読書の先生になれるはずです。
読書が子どもの生活になじむようになると、家庭の空気や子どもとの関係にも変化があらわれます。
動画の視聴が減り、その代わりに本を話題として楽しい会話が飛び交うようになったご家庭や、子どもが読書にハマりすぎてそれを見守る保護者から「また読書ばっかりして!」なんて小言が飛び出したご家庭までありました。
このようにして子どものときに読書習慣を身につけられると、どうなるでしょうか。
その子どもは大人になってからも、必要なときに必要な本を選び、必要なだけ読めるようになります。
そして読書を、人生の武器として使いこなせるようになるのです。
ちなみに、私自身が読書にハマったのは小学校2、3年生のときでした。
お気に入りの1冊に出会ったことで火がつき、寝る間も惜しんで読書に熱中したり、友達と競うようにしてたくさんの本を読んだりするようになりました。私の傍にはいつでも本の存在がありました。
そんな読書経験があるからこそ私には、読解力や想像力、思考力などが培われ、より広い世界へと足を踏み出すことができたという実感があります。
東京大学の現役合格をスムーズに実現できたのも、仲間と共に学生起業してヨンデミーを立ち上げられたのも、そして現在、経営者として充実した日々を送れていることも、すべてが読書のおかげだと思っています。
私を含めたヨンデミーのメンバーはみな、子どもの頃から何よりも読書が大好きです。
「読書がなければ今の自分はいない」
全員が心からそう思っています。
私たち自身が本に支えられ、力を与えられて過ごしてきた経験が、現在の活動の糧になっているのです。
このように、読書を好きになった子どもの世界は大きく広がっていきます。
大人の想像をはるかに超えて、一生広がり続けていくのです。
子どもが読書にハマり、世界を切り開く力を身につけるうえで、本書が少しでも役立てばこれに勝る喜びはありません。
さぁ、あなたも、子どもと一緒に読書にハマりましょう!
笹沼颯太
第1章 子どもの人生に読書というパートナーを
読書ができれば、他のことはなんとかなる
子どもが成長し、あなたのもとを離れて生きるようになるまで、あと何年あるでしょうか。
人によっては数年という場合も、10年以上という場合もあるかもしれませんね。
子どもたちが自分の力で生きていくようになるその頃、一体どんな時代になっているのかは誰にもわかりません。
この数年を見てみても、新型コロナウイルスの影響で働き方や暮らし方が変わったり、AIなどの技術がめざましく進化したりと大きな変化がありました。こうした変化の勢いは、今後ますます加速していくはずです。
予測不能なこの状況で何を選び、どんな力が身につくように子どもを育てていけばいいのか。
限られた時間の中でできる、子どもにとって最善の選択は何なのか。
それは、いつまでも答えが出ないとても難しい問題です。
4教科の勉強はもちろん、英語やプログラミング、スポーツ、ピアノなど、子どもに学んでほしいことがあふれています。
塾に通うべきなのか、習いごとを増やすべきなのか。教育の選択肢が多様化し無数に増え続けていますから、迷う保護者は多いことでしょう。
子どもには一人ひとり個性もありますから、同じ選択をして同じように努力をしたところで全く違う結果になることもあります。正解なんてないのです。
そんな中でひとつだけ、私が言えることがあります。それは「読書ができれば大丈夫」ということ。
「選択肢が多すぎて、我が子に何を学ばせればいいのかわからない」と悩んでいる保護者の方がいらっしゃれば、私は迷わず「読書」をおすすめします。
その理由は「読書ができれば、他のことはなんとかなる」という場合が思いのほか多いから。
なぜなら、なんでも本に書いてあるからです。
英語だってプログラミングだって、そして大人になってからはビジネスのことだって、本を読めば学ぶことができます。
詳しくは51ページからお伝えしますが、読書をすることによって身につくさまざまな力が、心強い支えになってくれます。
これからどんな時代がやってきて、どんな力が必要とされたとしても、そして、どんな悩みを抱えたとしても、本が読めるなら大丈夫。
本の存在は、どんな時にも子どもに力を与え、未来を切りひらくための武器になってくれるのです。
読書教育は、子どもも家庭も幸せにしてくれる
偏差値至上主義の教育では、やりたくない勉強を無理やりやらせたり、つらそうにする子どもを頑張らせる声かけをしたり……そんな子育ては苦しくありませんか。
読書教育は、偏差値至上主義の世界ではかなえることができなかった「子どもと保護者の双方が幸せになれる教育」です。
読書は子どもに点数をつけて比較したり、競争させたりすることがありません。
子どもは楽しく本を読んでいるだけ。保護者はその様子を焦らず安心して見守っているだけ。
それだけで、子どもが持つたくさんの力が伸びていくのです。
また、時間的・経済的な負担の少なさも読書の大きな魅力です。
自宅で短時間取り組むだけでも効果がありますから、多忙な毎日の中でも無理なく実践することができます。
そのうえ、本の購入費は塾や習い事の月謝と比べると低く抑えられることが多く、図書館などを活用すればさらに負担を減らすこともできます。
「そうは言っても、子どもが本ではなくYouTubeを選んでしまう」
そんな声も聞こえてきそうですが、一人ひとりの子どもの状況に合わせて読書教育を行うと、子どもの「好き」「知りたい」という気持ちを効果的に掘り起こすことができます。
すると「読みたい」「また読みたい」「もっと読みたい」という連鎖が心の中に生まれ、やがて子どもには「今、本を読みたい」という気持ちが芽生えるようになっていきます。
そうするうちにいつの間にか、 YouTubeに負けないほどに本が、子どもの心をとらえる存在になっていくのです。
本さえ読めれば、他のことはなんとかなる。
そのことを知っている保護者は、子どもが読書を楽しんでいれば、ただそれだけで安心することができるでしょう。子どもが「やりたい」と感じて自発的に取り組んでいる読書を、心から応援して見守れるようになるでしょう。
子どもも保護者も双方が幸せになれる教育が、こうしてかなえられるのです。
だからこそ、まずは読書教育をはじめてみませんか。
「読書のハマり方」がわかれば、子どもは勝手に読みはじめる
読書教育ははじめてみたい。
そう思ったところで「それなら読書を教えよう」と考える保護者はまだまだ少ないのではないでしょうか。
なぜなら読書のハマり方をプロに教わったことがない人がほとんどだから。周囲の大人を見渡してみると、本格的なハマり方を教わらなくてもそれなりに本を読めるようになった人ばかりですし、中にはすっかり読書家になった人もいます。
そんな状況ゆえに保護者は、そもそも「読書は教えるもの」という発想になりにくいのです。
もちろんそれでも、子どもが自然と読書家になることもあるでしょう。
しかし、ほとんどの場合はうまくいきません。読書のハマり方を適切に教えられていないからです。
本書では、そんな状況を打破するべく読書のハマり方を正しくお伝えします。その通りに教えれば、子どもはきっと読書を楽しむようになり、本の魅力にハマるはずです。
アメリカでは、「リーディングワークショップ」という授業があります。
これは、国語の授業の一環として子どもに自由な読書を重ねてもらうことで、子どもを「自立した読み手」に育てる授業です。
有名なのは、ナンシー・アトウェル氏によるもの。彼女は幼児から8年生(中学2年生に相当)までの子どもたちに、試行錯誤を重ねながら「読むこと・書くこと」を教えてきた伝説の教師です。
彼女は40年以上に渡ってリーディング・ワークショップを実践。2015年には、教育界のノーベル賞といわれるグローバル・ティーチャー賞も受賞しています。
幸運なことに私は、中学・高校時代に、本質的な読書教育を受ける機会に恵まれました。ナンシー・アトウェル氏の「リーディング・ワークショップ」を実践していた澤田英輔氏(通称あすこま先生)の授業を受けることができたのです。
しかし、日本の学校でこのような読書教育を受けられる機会はまだまだ少なく、それゆえに子どもたちのもとに上質な読書教育が届いていない現実があります。
だからこそ私たちは、先生がいなくても子どもたちが読書を身につけられるようにしたいと願い、ヨンデミーのサービスをつくり上げました。
ヨンデミーは、リーディング・ワークショップの学習モデルを参考にして生み出したオンラインでの読書教育です。
人生を変えるほどの力を持つ読書教育を、ご家庭で無理なく実践できるように工夫したものなのです。
本よりもラクなYouTubeに流される子どもたち
子どもが読書にハマるうえで大きな障壁となるもの。それが、 YouTubeをはじめとする動画コンテンツです。
言うまでもなく子どもは、YouTubeが大好きです。
主体的にページをめくり文字を追わなければならない読書と比べて、YouTubeは受動的に楽しむことができます。負荷が低く、どんなときでもラクに楽しめますから、子どもが見続けてしまうのも無理はありません。
もしも今YouTubeが存在しなければ、子どもはもっと本に手を伸ばし、読書を好きになっていたのかもしれません。
しかし残念ながら、ラクに楽しめる動画コンテンツがあふれる現代は、子どもが勝手に本を好きになる時代ではないのです。
ベネッセ教育総合研究所が2018年に行った調査によると、幼児期のご家庭での読み聞かせ実施率は94.7%。ほとんどのご家庭において、子どもが本に親しめるように努力をしていることがわかります。
一方で、小学生のインターネット利用時間は1日あたり平均213.7分(2022年に行われた内閣府の調査「青少年のインターネット利用環境実態調査」による)。2014年の調査では83.3分でしたから、10年も経たずに3倍近くに伸びていることがわかります。
小学生にとって平日に自由に使える時間は、学校から帰宅する15〜16時ごろから就寝する21〜22時ごろとすると6時間くらい。そこから宿題・ご飯・お風呂などにも時間を使った上で、動画視聴が213分(約3・5時間)を占めるというのは、驚くべき数字ではないでしょうか。
つまり子どもは、インターネット(YouTube視聴など)に時間を使うことを積極的に選んでいるのです。

読み聞かせだけでは、子どもは読書にハマれない
94.7%ものご家庭で、幼児期に読み聞かせが行われている。
それにも関わらず、小学生になった子どもが本を読まない。
その原因は、幼児期の読み聞かせからひとり読みへの移行がうまくいっていないことが大きいといえるでしょう。
「自分で」読みたいと思えていないのです。
読み聞かせをしてもらっている幼児期のうちは、大人が選んだ本をただ聞いているだけでいいのでラクでした。わからない部分を大人に補足してもらったり、抑揚をつけて楽しく読んでもらったりすることによって、多くの本をおもしろいと感じることができました。
しかし、ひとりで読むようになると状況は一変します。
自力で本を読む行為は、想像以上に負担のかかるものです。
今までは耳で聞いて理解してきた本の内容を、自分の目で読んで解釈しなければなりません。しかもそのときには、わからない言葉の意味を教えてもらうことも、読み手の表情やテンションをヒントにすることもできません。
本を楽しむことの難度が一気に上がってしまうのです。
子どもは自分で文字を追って読むくらいならYouTubeのほうがラクだと思ってしまうため、本を読むように促しても「読み聞かせなら(ラクだから)いいよ。してくれないならYouTubeを見る」などど反発するようになります。
そうしてやがて、読書離れにつながってしまうのです。
読書にハマれるかどうかは、小学生時代の読書習慣で決まる
ひとり読みの重要性がわかったところで、小学生の読書時間のデータを見てみましょう。
ベネッセ教育総合研究所の「子どもの生活と学びに関する親子調査」によると、低学年のうちは本を読んでいますが、学年が上がるにつれて1冊も読まない子が増えていることがわかります。
読書を一生ものの習慣にできるかどうかは、ひとり読みへの移行を成功させ、小学生のうちに1日30分の読書習慣を身につけられるかどうかにかかっているのです。
小学生のうちに読書習慣を身につけることができれば、多忙になる中学・高校時代に読書離れが進んでも、その減り幅をかなり抑えることができます。

小学生になれば文字の勉強も始まり、自分で本を読める子どもが増えていきます。
子どもが自ら本を開く姿を目にすれば、「あとはもう大丈夫」「放っておいても自分で読むようになるだろう」と安心する方も多いことと思います。
しかしこの時期に「おもしろい」と感じて自ら楽しめる本に出会うのは簡単なことではありません。
おもしろいと思える本に出会わなければ、読書にハマる道は簡単に閉ざされてしまいます。この時期の子どもの読書をサポートせず放置していれば「おもしろい本」に出会う機会を逃してしまうのです。
それだけではありません。子どもの目と手が届くところにはいつでもスマホやタブレットがあり、YouTubeなどの魅力的なコンテンツが誘惑しています。
本に魅力を感じられなければ、そして、本よりもずっと手軽で容易に楽しめる存在が近くにあれば、読書をしなくなるのは自然な流れです。
だからこそ、子どもが本の魅力に気づける環境をつくり、楽しく読んで習慣化させられるようサポートをする必要があるのです。
そうして読書を続けてきた子どもは、大人になったときに必要があれば読書という選択をして自らを助けることができるでしょう。
肝心なのは、小学生時代の読書習慣なのです。
読書によって身につく4つの力
34ページでは「読書ができれば、他のことはなんとかなる」とお伝えしましたよね。
ここからはその理由として、読書によって身につく4つの力についてお伝えしたいと思います。
1 学びに向かう力
読書によって身につく力のひとつに「学びに向かう力」があります。
小学生から中学生、高校生、さらにその先へと歩みを進めていくなかで、学ぶべきことはどんどん増えて難度も上がっていきます。
だからこそ小学生のうちにしておきたいのは、学びに向かう力を身につけること。
そうすることで、どれだけ学ぶ内容が変わっても、うまく対応できるようになるからです。
「勉強が嫌い」という子どもの様子をみると、困ってしまいますよね。
しかし、一番困っているのは子ども自身です。学校でも家でも毎日のように勉強をしなければならないのに、その勉強が嫌いだなんてつらいはずです。
それではなぜ、勉強が嫌いになってしまったのでしょうか。
その理由としてたびたび見られるのが「文字を読むのが嫌いだから」というものです。
読むという行為は、あらゆる学習において求められます。
教科書や宿題、テストなどには必ず文章が書かれていますから、読むことに苦手意識があればすべての教科において大きな負担を感じることになります。
「文字を読むのが嫌いだから勉強が嫌い」という子どもが多いのはそのためです。
反対に、読むことが得意であれば自信を持って勉強に向き合うことができるため、アドバンテージになるでしょう。
読書によって自ら学ぶ力がつけば、勉強への苦手意識が薄まるだけではなく、「チャレンジしたい」と思ったものに取り組む勇気も湧いてきます。
「ぼくは本が読めるんだから大丈夫」という心の拠りどころがあるからこそ、焦らず安心して挑戦し、世界を広げていくことができるのです。
たとえば、分厚い参考書を読むのに抵抗なく読めるようになれば、ぐっと勉強がしやすくなりますよね。本を読む中で培った語彙力が、英語などを学ぶうえで役立つこともあるかもしれません。
こうした力は、大人になるとますます役立つようになります。
なぜなら、社会人になると文字を読んだり書いたりする機会がさらに多くなるからです。この傾向は、リモートワーク化が進みテキストでのコミュニケーションが増えることによって、今後さらに顕著になっていくでしょう。
2 言葉を使いこなす力
読書をすればするほど、言葉に触れることができます。
そうして語彙力が伸びると、思考の幅は広がっていきます。私たちは、自分が持っている語彙を通じて物事を認識し、思考したり表現したりするからです。
たとえば「好き」という言葉を知らなければ、その気持ちについて考えたり、誰かに伝えたりするのは難しくなるでしょう。
もちろんその言葉を知らなくても、「好き」という気持ちを実感したり、表情や態度で表現したりすることはできますし、言葉にしないからこそ感じられる機微もあるかもしれません。
しかし、その気持ちについて深く考えたり、ストレートに表現したりするためには、言葉があるほうがスムーズなのは間違いありません。
言葉を当てはめていない物事について思考したり表現したりするのは、とても難しいことだからです。
裏を返せばそれは、言葉を知れば知るほど思考の幅が広がるということでもあります。本を読むことで語彙力が伸びれば、思考の世界が広がっていくのです。
語彙力が伸びていくと、言葉を使った表現力も豊かになっていきます。
ヨンデミーの受講生には、知っている言葉が増えたことによって、自分の心身の状態を伝えやすくなったという子どもがいます。
たとえばある子どもは、体調を崩したとき「喉の奥がギューッとなって吐き気に近い感じがした」と的確に伝えることができ、周囲の大人にスムーズに対処してもらえたそうです。
たくさんの言葉を知り、使いこなす力が身についたことで、自分にしかわからない体や心の状態をうまく伝えられるようになったのです。
対話やテキストコミュニケーションのときに言葉で表現する力は、どんな時代がきても求められます。
人間同士の関わりの中では言葉によるやりとりが欠かせませんし、たとえAIが進化しても言葉によってAIに指示する力が必要になります。言葉を使いこなして思いを表現する力が肝要なのです。
そうした力を身につけるうえで有効なのは、言葉によるやりとりに接すること。
本を読んで登場人物の言葉遣いに触れたり、大人たちの対話を耳にしたりする中で、言葉の使い方は磨かれていきます。
しかしテレビやYouTubeなどの動画は、視覚的な情報によって、極論、言葉がわからなくても伝わることを目指してつくられているため、言葉を学ぶには適しません。
より効果的に語彙力を伸ばすことができて、思考の幅を広げることにも、言葉による表現力を高めることにもつながりやすいのが、読書だというわけです。
3 EQ(心の知能指数)を高める力
IQ(Intelligence Quotient/知能指数)は、頭のよさを測る指標として知られています。
この数値が高い人は、論理的な思考能力などに優れていることから高評価を受けやすく、就職などのときに有利になるといわれてきました。
しかし近年、IQに代わって評価の主軸となりつつある指標があります。
それがEQ(Emotional Intelligence Quotient/心の知能指数)です。
EQが高い人は、自分の感情を把握しコントロールするだけでなく、周囲の人の気持ちも理解して適切に接することができます。
EQを提唱した心理学者ピーター・サロイ氏とジョン・メイヤー氏は、ビジネスパーソンを対象とした調査を行い「ビジネスで成功した人はほぼ例外なく、対人関係能力に優れている」と結論づけました。
IQが高くても、コミュニケーション能力が低い人はチームの生産性を下げやすく、成果に結びつかないことがあります。
それに対して、EQが高くスムーズなコミュニケーションをとれる人は協力者が集まりやすく、たとえIQが低くても成功するケースが多いというのです。
採用時にEQに着目する企業は少しずつ増えていますが、実は当社Yondemy(ヨンデミー)もそのうちの一社です。
EQ重視の採用をしている当社では、相手の気持ちを思いやれるメンバーが揃っているおかげで、お互いのいいところや伸ばせるところを素直に伝え合えたり、どのメンバーとも気軽に相談できたりします。そんな理想的な環境だからこそチームの生産性も上がり、サービスの充実に力を注げるのです。
今の日本の教育では、EQよりもIQが重視されていることは間違いありません。
しかし、IQだけが高くても社会でうまくいくとは限りません。IQを生かして活躍していくためにはEQを高める必要があるのです。
それでは、どうすればEQを高めることができるのでしょうか。
効果的だといわれているのは、文学小説を読むこと。文学小説をたくさん読んだ人は、人の感情を読み取る能力に長けているということが、心理学者のデイビッド・キッド氏とエマヌエーレ・カスター氏によって報告されているのです。
4 人の考えを取り入れて自分を変える力
教わり上手な素直な「コーチャブルな人」になれるというのも読書の大きなメリットです。
コーチャブルとは「コーチ(Coach)」と「可能な(able)」を組み合わせた言葉で「コーチングを受けられる状態にある人」という意味。人の考えを取り入れて柔軟に自分を変えていく力といってもいいでしょう。
あなたの知り合いに、どんなアドバイスをされても聞き入れない頑固な人はいませんか。
せっかくいいアドバイスをもらっても、ひとこと目で「でも……」「だって……」と否定してしまう。言い訳や屁理屈ばかりで自分を変えようとしない。
そんなことを続けていると当然、成長のチャンスを逃してしまいます。
そうしたコーチャブルでない態度は、周囲の人からの「この人にチャンスを掴んでほしい」「この人の助けになりたい」という気持ちを遠ざけてしまいます。
やがてその人は、成長することもできず、周囲からの協力も得られない、とても生きづらい状態になってしまうのです。
とはいえ、コーチャブルな人になるのは、決して簡単なことではありません。
人は基本的に変化を好まず、そのままの自分であり続けたいと思うものだからです。しかし、そうした側面が強くなりすぎて「変わりたくない」と思っていると、いつまでも成長はありません。
人からのアドバイスを受け入れず変化を拒むような人よりも、アドバイスを素直に受け入れ、自分を変えていける人のほうが成長が速いことはいうまでもないでしょう。
しかし、アドバイスを受け入れることは、自分の間違いや至らなさを認めることでもあります。とても勇気が必要で難しいことなのです。
では、アドバイスを受け入れられるコーチャブルな人になるためには、どうすればいいのでしょうか。
そこで有効なのが、やはり読書です。
読書をすれば、いろいろな人の考え方や価値観を知ることができます。
自分とは違う考え方や価値観に触れる経験は、自らの間違いや至らなさに気がつくきっかけになります。そうした経験を経るうちに謙虚さや素直さが培われ、コーチャブルな状態になっていくというわけです。
どんなときにも、読書は味方でいてくれる
読書は読み手にさまざまな力を与えてくれるだけではありません。
さらに読書は、どんなときにも寄り添ってくれる「心の中の相談相手」にもなってくれます。
本を読んでいると、さまざまな登場人物と出会います。
それらの人物は本の中であらゆる境遇に置かれ、行動したり決断したりする姿を見せてくれます。その姿に触れるうちに、自分にはなかった考え方やものの見方を自分に落とし込むことができるようになります。
そうするうちに読み手は、迷ったときに「こんなとき、あの人ならどうするだろうか」と想像し、頼れる指針をいくつも持てるようになります。
進むべき道を迷っているときや悩みを抱えて困っているとき、「心の中の相談相手」に助けてもらえるようになるのです。
このように読書は、どんなときにも子どもの支える味方になってくれます。
困ったときや悩んだとき、自分の力で問題を解決したいと思ったときに、本は子どもに寄り添ってヒントを与えてくれるのです。
これから先。どんな時代がやってくるのかはわかりません。
しかし、子どもに本を読む力があるのなら、安心できると思いませんか。
ここから先は、ヨンデミーオンラインを通じて1万人の子どもたちの読書指導に携わってきたからこそ伝えられる、ご家庭でできる読書教育の方法をお伝えしていきたいと思います。
「魚を与えるのではなく、釣り方を教えよ」という言葉があります。
飢えた人に魚を一匹与えれば、その人は当面は飢えをしのぐことができますが、翌日には再び飢えに悩まされることになります。
しかし釣り方を教えれば、その人にはもう魚を与える必要はありません。生きる技術を身につけたその人は、自分の力で生きていけるようになるからです。
子どもが読書をできるようにするということは、ここでいう釣り方を教えるようなもの。読む力を身につけることによって、その先もずっと自らの力で効率よく学びを続けられるようにするということです。
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